人が健康や生命を維持していくためには、さまざまな栄養やビタミン・ミネラルが必要です。その中の1つに亜鉛があります。亜鉛は人体にどのような影響を与えるのか、また1日にどれくらいの量を摂取すべきなのか、そして亜鉛を効率的に摂取する方法について、今回はご紹介します。
1.亜鉛の人体へのはたらき
亜鉛は摂取しなければならないミネラルのひとつです。亜鉛は人体にどのようなはたらきをするのでしょうか。まずはそのはたらきについて紹介します。
1-1.味覚を維持させる
食べ物の味は、舌にある味蕾(みらい)を通して感じる仕組みとなっています。この味蕾の中にある味細胞でのはたらきを、亜鉛は促すのです。味細胞は時間的に短いサイクルで、新しい細胞へととって代わります。そのため亜鉛は常に供給できていなければなりません。日頃から充分に亜鉛を摂取する必要があります。
1-2.抗酸化作用
人間の体は酸化をすると老化が一気に進み、病気にもかかりやすくなります。アンチエイジングや生活習慣病の予防を実現するためには、酸化作用を止める「抗酸化作用」を活性化させる必要があるのです。亜鉛はビタミンAの代謝を促すはたらきがあります。ビタミンAは抗酸化作用の効果を期待できる物質です。
1-3.免疫力を上げる
亜鉛は粘膜のはたらきを引き出すビタミンAの生成に関わるため、喉や鼻の症状を和らげます。また亜鉛は白血球にも含まれていて、けがや病気からの回復を亜鉛は早めてくれるのです。
1-4.髪や肌をきれいにする
亜鉛を摂取するとタンパク質の代謝が活発になり、髪や皮膚をきれいにしていきます。髪や皮膚は代謝のペースが速いため、継続的な亜鉛の摂取は必要となるのです。
1-5.生殖機能の改善
男性の前立腺や精子には多くの亜鉛が存在します。そのため生殖機能の改善や維持には亜鉛が必要不可欠です。
2.亜鉛を多く含む食材
人体の生命活動のために亜鉛は必要不可欠であるにもかかわらず、体内で生成できません。そのため亜鉛は食事によってのみ摂取することになります。次に亜鉛を多く含む食材には、どのようなものがあるかについて解説をしましょう。次の量は、100gあたりの亜鉛の量を表します。
2-1.魚介類
最も多いのが牡蠣で14.0mgです。続いてかたくちいわしの田作りが7.9mgです。牡蠣は「海のミルク」という別名があるのは有名なので、聞いたことはあるでしょう。その後は干物・乾物が続いていきます。同じ100gでの含有量であるならば、水分を飛ばした乾物の方が栄養価としては高く出るという現象が、反映された結果となりました。
2-2.肉類
肉類で最も多いのは豚の生レバーで6.9mg、続いて牛もも赤肉が4.8mgです。そして牛リブロース赤肉4.5mg、豚肩ロース肉3.2mgです。上位には牛肉が目立ちます。亜鉛を蓄える分量が、別の種類の肉と比べて、牛肉が圧倒的に多いのです。
2-3.藻類
藻類で最も多いのは、焼きのりで3.6mgです。続いてカットわかめ2.8mgとなります。こちらもやはり乾物の亜鉛の含有量は、多めという結果が出ました。
2-4.豆類
豆類の中で最も含有量の多いものは、きな粉で4.1mgです。続いて油揚げ2.5mg、糸引き納豆1.9mgです。豆類は他の食材と比べて、まとまった摂取はできません。しかしどれも身近な食材ばかりなので、自然な形で摂取しやすいでしょう。毎日少量でも食べる習慣をつければ、亜鉛を無理なく摂取できるでしょう。
2-5.種実類
種実種で最も多いのは、かぼちゃのいり味付けで7.7mgと多めです。続いて胡麻のいりで5.9mg、乾燥アーモンド3.6mgと続いていきます。こちらは炒ったり乾燥させたりしたものの価値が高く出ています。こちらは和食中心の食事にすれば、自然と亜鉛が摂取できるでしょう。
3.1日に必要な亜鉛の摂取量
それでは私たちは、亜鉛をどのくらい摂取すれば問題がないのかさらに見ていきましょう。日本の成人では男性で1日に11mg、女性は8mgが基準です。正確にいうなら「推奨量(ほとんどの人が、必要量として十分に満たせる量)」とされています。妊婦の方はさらに2mg、授乳中の女性は4mgを上乗せする必要があります。
4.亜鉛が不足しがちな現代の生活
私たちが亜鉛を十分に摂取できる状態でいるためには、上記のような食材を十分な量毎日食べきれていればよいでしょう。しかしそもそも洋食やファストフード、コンビニなどの弁当類を食べることが多いという方も、少なくないでしょう。そうであるならば、食事の内容を見直さなければなりません。
それではもし、亜鉛が不足している食生活を送っていればどのような体になるのでしょうか。それは前述した亜鉛のはたらきの逆を考えればよいのです。すなわち皮膚の荒れ・脱毛・味覚異常・貧血・食欲不振、下痢・性機能低下・治癒力低下・病気にかかりやすいなどの、症状が現れやすくなります。
5.サプリで栄養補充
亜鉛を豊富に含む食材を毎日継続してうまく摂取するのは、なかなか難しいでしょう。したがって多くの日本人だと通常の食事では、亜鉛を充分に摂取できているまでには、至っていないかもしれません。そのような時には、サプリを利用して補給できます。最近ではドラッグストアやコンビニで手軽に購入できるため、サプリを利用している人も増えています。自分の健康に関心をもち、体調面や栄養面の管理をみずから行うことは、もはや私たちの義務ともいえるでしょう。
6.まとめ
亜鉛は私たちの生命活動を維持して行くうえで、非常に重要な物質です。数多くのはたらきを亜鉛は実現しています。しかしその亜鉛は私たち自身が、体内で生成できるものではありません。日頃からの食事によって摂取する必要があります。しかし現在の私たちにとって、それは難しいものです。必要な亜鉛を食事で摂取することはもちろん、それでは足りない分をサプリで補充してみましょう。バランスのとれた体づくりを実現できるでしょう。
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